ワイナリーとワイン造り
ボデガス・ロス・ベルメホスは、ブドウに最大限の敬意を払って扱っています。ブドウを丹精込めて育てることで、自然が大きな恵みを与えてくれることを身をもって知っているからです。
厳選したブドウの熟度を徹底的に分析・管理し、健康状態を保つことに重点を置いています。ブドウを傷めるようなポンプも機械も使用せずに、重力でブドウを移動させ、優しく圧搾して本来の特徴があらわれるように仕上げます。
ブドウ栽培
ワインは清澄化せずに、ワインの特性を保てるように設計された特殊な機械を使用して澱引きと瓶詰めを行います。
ブドウ本来の特徴が出るように造ったワインで、口に含むと、虜になる味わいが広がります。飲むことを楽しむためのワインであり、テイスティングするためのワインではありません。
ランサローテ島におけるブドウ栽培は、フィロキセラの被害を免れました。
フィロキセラはアメリカから渡ってきた虫害で、19世紀後半にヨーロッパでは畑が壊滅的な状態に陥りました。そこで、寄生虫に強いアメリカ産の台木に良質なヨーロッパ産のブドウの木を接木せざるを得ませんでした。
その過程で、醸造用の多くの品種が失われ、その他の品種の栽培も縮小し、ほとんど消滅してしまいました。
ランサローテ島のブドウは自根で栽培されています。アメリカ産の台木に接木せずに、ヨーロッパ産の品種をそのまま植えているため、フィロキセラ前から存在する品種と醸造の特徴がしっかりと保たれます。
栽培方法
畑を覆う火山灰(砂や湿った灰)は、わずかしか降らない雨をスポンジのように吸い込んで保水し、海に浸食されないようにしてくれます。水はけがよくなり、根を張る上層土に水分がいきわたり、太陽にあたって蒸発するのを防ぎます。有機物が多くないため、養分が豊富な土壌に一つ一つ穴を掘って植えなければなりません。それでも、春と夏に吹きつける貿易風は、穴から顔を出している葉を焼いてしまうので、半円形の石垣で守る必要があります。
灰の層の厚さによって穴の深さと直径が決まるので、植密度はそれ次第です。穴の深さが4メートル、直径が6メートルに及び、1ヘクタールあたり200本以下の場所があります。植密度が高いところでも1ヘクタールあたり800本が限界で、雨量が少ないため、1ヘクタールあたり500Kgから1500Kgしか作れません。少量生産、非常に少ない雨量、豊富な日照量と樹齢数百年の樹という要素が一体となり、ランサローテ島のブドウは、真のワイン醸造の宝石と呼ぶにふさわしいものとなるのです。
農家
火山が噴火した当初は飢餓が起こり、島外移住を余儀なくされましたが、農家の粘り強い努力が実を結び、間もなく肥沃な土地が生まれ、繁栄がもたらされました。
実際に、それまでの畑では穀物しか作れず、ブドウや果物は栽培できませんでした。
火山灰が降り注いだ場所を原始的な方法とまったくの手作業で堀り、そこに木々を植えて、上層土に到達できるように溶岩層を切り開きました。その根が後に島に大きな恵みをもたらすことになります。
深さが4メートルある穴や割れ目を降りて、ブドウの樹を1本1本大切に育てる姿は、まるで庭師のようです。
ぶどう
マルヴァジア・ボルカニカ
ギリシャ原産のマルヴァジアは、16世紀にマデイラ島からカナリア諸島に伝わり、ランサローテ島の主要な品種となりました。
「マルヴァジア」の名前は、ギリシャ人が地中海沿岸の征服に向けて出発した、ペロポネソス半島にあるモネンバシア港に由来すると考えられています。
この品種は古くからワイン造りに使用されてきました。
エドワード4世の弟ジョージ・プランタジネット初代クラレンス公は、大逆罪で捕らえられ、1478年にロンドン塔で処刑されましたが、マルヴァジア品種を含むマルムジーワインで溺死したいと懇願したと言われています。
シェイクスピアやその他の作家の文学作品には、カナリア諸島のマルヴァジア品種で造ったワインを賞賛する箇所が多くあります。
ランサローテ島には「マルヴァジア・ボルカニカ」という異なるクローン品種があります。地面を横に這うように伸びる匍匐性というのが特徴で、穴を掘って石垣で熱風から葉を隠すという、この島ならではの栽培方法に最適です。
少量生産で、7月末に早摘みします。
ディエゴ
イベリア半島南部が原産のこの品種は、ブハリエゴ、ベリハディエゴ、ビハリエゴとも呼ばれ、グラナダの高地のアルプハラ地方でも見られます。
病気に強く、酸と糖が非常に豊富です。
長期熟成に適した、濃厚な香りの辛口ワインが生まれます。
熟すのが遅く、9月半ばに収穫します。
モスカテル
この品種の多くがマスカット・オブ・アレキサンドリアやローマ人が持ち込んだモスカテルですが、ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランとモスカテル・モリスコもあります。
ランサローテ島のモスカテルの多くが樹齢数百年のもので、溶岩の割れ目の中で栽培されています。亀裂は、島を覆う溶岩が固まってできたものや、手作業で掘った「チャボコ」と呼ばれる穴で、深さが4メートルに及ぶものもあります。
主に甘口の白ワイン造りに使用されます。9月半ばに熟しますが、過熟させたり、太陽に当てたりして、ブドウの本来の甘さが出るように糖度を高めます。
リスタン・ネグロ
リスタン・プリエト、アルムニェコ、フォラステラとも呼ばれ、ランサローテ島の赤ワイン品種の中でも優れています。原産地であるイベリア半島南部ではモリャル・カノと呼ばれますが、原産地ではこの品種はほとんど見られません。一方で、アメリカ大陸では非常に知られていますが、その理由は、スペインがアメリカ大陸を征服した際に、宣教師がミサでワインを使用するためにこのブドウを持ち込んだためです。
これに因み、アメリカのカリフォルニア州とメキシコのバハ・カリフォルニア州では「ミシオン」(宣教の意味)、チリでは「パイス」、アルゼンチンでは「クリオリャ」と呼ばれています。
通常、9月上旬に熟します。心地よく、香りが非常に豊かなミディアムボディのワインが生まれます。
その他の品種
リスタン・ブランコ、グアル、アルビリョ、ブラ・ブランカ、ネグラモル、ムラタ、テンティリャ、ネグラ・コムンなど、カタログに載っていないものの、ランサローテ島では今も栽培されている生産量の少ない品種が多々あります。一方、本土では、フィロキセラによって消滅したり、栽培量が大幅に減ったりしました。
ランサローテ島のブドウの品種は豊富で、調査やカタログ作成が簡単にできないほどです。
ワイナリーを知るには
360º
Camino a Los Bermejos, 7
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